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ネットの使い方を子どもたちに教えたほうが良いのだが、教えられる先生がいない

ここ最近、若者の珍妙な行動の写真がネット上で広く拡散されて・・・、というものが流行?しているようで、「将来が絶たれる馬鹿行動」と評されている。本当にそこまでなのだろうか?という気はするが、場合によってはそのバカ行動をしてしまった若者の名前でgoogle検索をすればその写真がヒットするのだろう。
これは場合によっては、取り返しの付かない結果にもなりうる。そもそも現在の法律では、そこそこ酷い犯罪をしても、例えば懲役数年であれば、それはつまり死刑とまででは無いという意味になる。刑期が終われば形としては許されたということになる。(社会的にはまだ許されない部分もあるかもしれないが)
つまり、罪の量というのを定量化しているということであり、償えればチャンスがまた来るという、人類の優しさである。間違いを犯してもやり直せるはずだという精神によって作られたものである。

しかし、ネット上のデータとして刻まれてしまった画像は、永遠に消えることはない。文章と画像は大量に転載され、検索すればそれが掘り出せる。それらは、一部の悪意によって特定され、SNS等の大衆によって拡散され、ブログやまとめといった営利活動によって爆発される。
簡単な例で言えば、バイトの面接を受ける時、店長が何気なく本名を検索して、「こんなことをする人間だったのか」となったりする。 法律的に許されたが、社会的に許されない。通常よりも多く罰を受けているのではないだろうか。

はっきりいって恐ろしい。大衆が、特に強い気持ち、悪意、批判、感情もなく、その加害者を必要以上に陥れる装置であり、それが自然発生してしまったということだ。
こういった現象がいつまで続くかはわからない。ネットが大衆に浸透したからこそ成立する現象なので前例もない。ただ、歴史上の、史実として書かれる人物の中にも、なかなかの奇行をする者もいるようなので、「馬鹿をやってみちゃう若者」ってのはどの時代にもいて、特に現代特有のものではないだろうというのは推測できるし、「これだから若者は・・・」みたいな古文書は多分残っているよね。むしろ平均してみれば最近の若者のほうが史上で最も分別がありそうな気がする。

まず少なくとも、今の大人達がしっかりネットの使い方を教育しなければならないだろう。現実感覚として、ネット上での行為は生理的なものと完全に独立しているので、それは「慣れ」だけで使うと想像できなかった失敗を子供は起こす可能性がある。子供であれば許すべきようなことも、運が悪ければネットには永遠に刻み込まれてしまうだろう。

さて、それを教えられる人はいるのだろうか。親が子に教えられるのならばそれでよいのだが、こういった内容は学校でこそ教えるべきであるとも思える。しかし、現状はむしろ子供のほうがTwitterfacebookについて知識があるのではないだろうか。先生たちは「個人情報を守るということがいかに重要であるか。それはあなた達が思っている以上に危険であり、またその危険性というのが、現段階では見積もれないということ自体が大変危険なことである」ということを、その子たちにたしかに伝えられるのだろうか…

冷静に振り返れば、原始時代の人類と比べるとこの数千年で人類は様々な形態の社会を形成して、そして今にいたり、ネットというものが浸透したのもここたった10年である。「ネット、大衆、若気の至り」という3つが重なりあうという条件によって引き起こされる現状は、防げたものだろうか?今から防ぐ活動はしていくべきだとして、それをたった百年レベルの歴史の学校というシステムに求めるのも野暮なのではないだろうか?モンスターペアレントという問題があるが、あれは「自分で注意させるべきものを、学校側に求める」といったような問題行動だ。もちろんモンスターペアレントというものは問題だと私も思うが、では親自身が子を教育するというのはどれほど信用できるのだろうか?学校に委託しろと言っているのではない。人が子を教育するというシステムは間違いなくある種の素晴らしいシステムだ。ただ、未来は予測できない。5年前に「SNSで馬鹿な画像をアップロードしちゃいけないよ」と教えられた親が日本に何人いたのだろうか?(でもゼロでは無いと思う)

歴史上の人々は、その人達より過去の歴史を振り返ることはあまりできなかったと思う。歴史というもの自体認識していなかったかもしれない。我々がそういった時代を振り返ることができるのは学校教育の賜物であるからだ。だからこそ、我々は未来がどう変化するか分からないということが分かった世代とも言える。ネットというものが世間や文化というものの変形スピードを早めている。そのような媒介は未来にまた現れるのか?そういったものが今度は何を変化させるのか?例えば戦争を引き起こして、大戦のような時代がまた訪れるのか?・・・

このくらいまで考えると、ネットで馬鹿な行動を拡散されてしまう件について考えるのも、馬鹿らしく思えてくる。